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武藤工業3D教育開発フェロー:化学科でも広がる3Dプリンタ活用!

今年度の3Dプリンタ教育開発フェローとして活動する静岡県立沼津工業高等学校 化学科教員 佐藤富美先生による、3Dプリンタ活用事例を紹介します。

本取り組みの出発点にあるのは、化学科の生徒にもものづくりのおもしろさを届けたいという思いです。これまで3Dプリンタは機械系の学びの中で活用される場面が多く、扱える生徒が限られがちでした。そこで佐藤先生は、化学科の授業の中に3Dプリンタを位置づけ直し、より多くの生徒が、自ら考えたものを形にし、さらに改善していくプロセスを体験できる学びをつくれないかと考えました。

先生自身にとっても3Dプリンタの本格的な活用は初めての挑戦でした。だからこそ、生徒に教える立場でありながら、自らも操作や出力の工夫を学び、試行錯誤を重ねながら授業づくりを進めていきました。3Dプリンタは専門的な知識をもつ教員だけのものではなく、初心者であっても、題材の設定や授業設計次第で実践につなげていけることがわかりました。

授業では、高校1年生と2年生を対象に、Tinkercadなどを活用した3Dモデリングと出力を実施。はんこ制作やキーホルダー制作といった取り組みやすい題材から始めることで、生徒たちは自分のアイデアが立体になる手応えを得ながら、設計と出力の基本を学んでいきました。

作成した授業一覧

学年授業数テーマ
1年生4コマ体積が1.0cm3程度のものを設計しよう
2年生3コマTinkerCADを自由に使って設計をする
1-2年生共通2コマ文字変更できる沼工の化学科らしいデザインのキーホルダーを設計しよう

文化祭に向けた制作では、見た目のおもしろさだけでなく、「壊れにくいか」「使いやすいか」といった観点にも着目。生徒同士で改良案を出し合いながら、形状や接続位置、厚みなどを見直していきました。実際に使ってみて見えてきた課題をもとに、再び設計し、出力し、検証する。そうした試行錯誤を重ねる中で、生徒たちは複数のモデルを自ら試作し、課題を発見しながら改善へつなげる学びのサイクルを主体的に回すようになっています。

本活用の特徴は、3Dプリンタを単なる出力機器として使うのではなく、考え、試し、確かめるための道具として活用している点にあります。とりわけ化学科ならではの学びとして、生徒たちはPLAの構造や性質にも関心を広げました。なぜこの材料で形になるのか、熱に対してどのような特徴を持つのか、どのような形状であれば強度を保ちやすいのか。形をつくる活動が、材料そのものへの視点を育て、化学の学びへとつながっていったことは、今回の大きな意義のひとつです。

本実践は、3Dプリンタが工業系、機械系の専門学習にとどまらず、化学科においても、生徒の創造性や主体性を引き出しながら、材料や構造への理解を深める教育ツールとなり得ることを示しています。ものづくり0.では、こうした実践事例を広く共有することで、全国の学校の先生が自校での活用を具体的に思い描ける機会を広げていきます。