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デジタルものづくりをのぞいてみよう②「モニター校に直撃!初めての3Dプリンタを使った授業」

世界中がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めているなか、学校教育でもデジタルを活用したものづくりの推進を文部科学省も掲げ(高等学校DX加速化推進事業:DXハイスクール)、学校教育において3Dプリンタ、VR動画作成等を含む教育の推進が始まっている。そこで、すでに先行して3Dプリンタを活用してデジタルものづくり教育を試行をしている教員や生徒たちの活動を紹介する。

取材協力:箕面自由学園中学校・高等学校 中岡雅樹先生

2023年12月に開催した「デジタルものづくり教育セミナー」に参加した中岡先生。モデリングや3Dプリンタの操作の様子を見るうちに、「3Dプリンタは誰でも使えるんだ」と胸が熱くなり、この感動を生徒たちにも味わってほしいとモニター校に応募。実際に授業で実践いただきました。(本記事は、教育応援 vol.61『デジタルものづくり教育を覗いてみよう』にて掲載されたものです。)

Q:3Dプリンタを授業で使おうと思ったきっかけはなんですか?

私は普段、中学と高校の理科、技術を教えています。中高の間に面白い経験をすることが、生徒の将来やりたいことにつながるはずという意識をもち、いつも授業の工夫を考えています。新しい物好きなので自分で学校にあった海外製の3Dプリンタで造形してみたことがあるのですが、「授業で教える」となると心理的なハードルを感じていました。その理由は、モデリングなど、内容が高度になりそうというだけでなく、3Dプリンタが重たくて運ぶのが大変なこと、さらにヘッダやプレートの加熱によるやけどの心配もあったからです。そう考えているうちに学校の3Dプリンタの動作が不調になり、メーカーのサポートが終了していたので活用を諦めていました。そんな中、今回のセミナーに参加したところ、機械やソフトの扱いやすさから教材として使うイメージが湧き、モニターに応募しました。

Q:初めての授業の手応えはどうでしたか?

1クラスあたり中学2年生61名全員に、2コマ連続授業の形で実施しました。内容は、モデリングと造形です。CADソフトで自分の好きなものを設計するプロセスが、技術科の製図の単元「等角図」を理解するのに最適で、立体的な形について視点を変えながら理解してもらいました。パソコンやタブレットを使った操作はスクリーンに投影してデモンストレーションすることでスムーズに実施できました。ただ、作るもののアイデアが湧かない生徒が遅れがちになってしまったので、テーマを設定するなどの工夫が必要でした。次回は、「〇〇に使えるもの」など課題を与えてみようと考えています。また、最終的にはグループワーク形式で設計図をみんなで作って、部品を分担して設計し、1つの大きな作品を作るような授業ができると理想的です。

Q:3Dプリンタを授業でどのように展開していきたいですか?

授業では、技術の科目に限らず他教科とコラボレーションして分野横断的に活用していけたら面白いと思います。数学で学ぶ図形を造形したり、社会で人とものづくりの歴史を理解するのに活用するなど、統合的なプログラムにできるのではと他教科の先生とも話していました。また、授業以外でも職員室の前に置いておくだけで生徒が造形データを端末から送って、勝手に造形するようになるといいなと思っています。今回使った3Dプリンタは手持ちで運べる重さとサイズなので、授業の時は技術室に持っていけます。まずは、興味を持った科学部の生徒に自由に設計させ、造形は職員が行う形で、生徒が日常的に使ってくれそうかを検証してみています。